タキシード研究


タキシードについてもっと知りたい方へ

このページの目次
タキシードを着る時の注意点
なぜ女性がタキシードを着るのか?
   女性用タキシード開発秘話
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■タキシードを着る時の注意点■


タキシード
タキシード



前ページでは、男性用との「違い」について書きました。女性用のタキシードは、女性
ならではの体のラインを出すために、男性用とはシルエットが違うことを説明しました。
しかし、いくら女性用とは言っても、使用する生地や縫製などは男性用と同じものが
求められます。そうでなければ「タキシード」と呼ぶ意味がありません。
「レディースタキシード」という言い方もありますが、この場合、デザインや生地などが
もっと婦人服っぽくなっていることが多いようなので、タキシード向上委員会では、
「タキシード」とは区別して扱いたいと思います。
同じく、シャツや蝶ネクタイ、カマーバンドなども、サイズ以外は男性用に準じたデザイン、
クオリティーのものを使用する必要があります。ただし、靴だけは、ボトムにスリムパンツを
穿くのであれば、足元がエレガントに見えるように、ハイヒールを履くことをお薦めします。

女性がタキシードを着る上で一番重要でかつ、難しいのは、タキシードという、
「男の中の男」的な衣裳を着ながら、「男っぽく見せない」ということです。
しかも、
生地や縫製は男性用、という条件で!
もう一度言います。タキシード向上委員会が目指しているのは、男装(異性装)
としてのタキシードの普及ではなく、あくまでも女性が着るカッコイイ婦人服のアイテム
としてのタキシードの普及です。もちろん、個人の好みですから、男っぽいタキシードを
着ることを否定しているわけではありません。女性が堂々と(男っぽい)タキシードを
着ている姿はとても素敵だと思います。ただ、タキシード向上委員会としては、より
難題なテーマに挑戦するために、あえて「男っぽく見せない」ことにこだわっています。





■なぜ女性がタキシードを着るのか?■


タキシード
タキシード



ところで、そもそもタキシードとはどういうものを指すのでしょうか?タキシードを
極めようとする女性なら、本来の男性用のタキシードについて勉強しておいた方が
良いでしょう。男性用のタキシードについては、 タキシード会議 などで詳しく
書かれていますので、そちらを参考にして下さい。

タキシード会議を見るまでもなく、タキシードや燕尾服が、男性の正装であることは
誰でも知っています。では、その「男の中の男」的な服装を、なぜ女性が着るように
なったのでしょうか?私は、その原点は、故・美空ひばりさん主演映画「悲しき口笛」
にあると考えています。女性が男装するためにタキシードや燕尾服を着ることは、
宝塚や松竹歌劇団などで戦前からありました。しかし、それらは男を演じるために
そのような格好をしているのであって、女性が着ているとは言えません。しかし、
「悲しき口笛」の中の美空ひばりさんは、服装こそ燕尾服にシルクハットという最礼装で
登場しますが、そのような格好の美空ひばりさんをを見ても、「男」は感じさせません。
女性が男装ではなく、女性として燕尾服を着た、日本初のケースだと思います。
しかし、これも映画の中の話であって、当時一般の女性がそれを真似してタキシード
を着たり、レストランのウエイトレスの制服がタキシードになったりするような動きは
全くなかったと思われます。

それから時代は流れ、女性のファッションでもパンツスタイルが多く見られるようになり、
パリコレで「レディースタキシード」が登場するようになりました。日本でも一時期、
この「レディースタキシード」が流行し、それぞれの女性が色んなアレンジを加えて
楽しんでいました。しかし、このレディースタキシードは、「タキシード」と名乗って
いますが、これは使用する生地、縫製、デザイン、色など、どれを取っても本来の
タキシードとは異なります。その証拠に、流行が去った今では、それを着る人は
誰もいません。それは、そのタキシードが本物ではなかったからです。タキシード
向上委員会では、この「レディースタキシード」はタキシードとして認めていません。

そして時代は21世紀を迎え、「男女雇用機会均等法」という法律が施行され、
新たな転機を迎えます。皆さんもこの法律はご存知だと思いますが、具体的には、
従業員の募集の際、男性限定、というような募集が出来なくなり、それまで男性
ばかりだった職業にも、女性が進出するようになりました。採用する企業側は、
女性用の更衣室やトイレを新たに作るなどの対応を迫られましたが、もう一つ
問題になったのは女性従業員の制服です。このような、元々男性ばかりだった
職業を敢えて選ぼうとする女性は、男に負けたくない、女性ということで特別扱い
されたくないという思いが強かったのでしょうか。男性と同じデザインの制服を支給
されても喜んで受け入れ、そして男性顔負けの仕事をこなして来たのでしょう。
そして今では、例えば一般の人が女性ソムリエや女性バーテンダーのタキシード
姿を見ても、それに違和感を感じる人はいないでしょう。つまり今では、タキシードは
女性用としても市民権を得ているのです。

このように、「女性のタキシード化」は、サービス関係の制服を中心に広がりつつ
あります。サービス関係以外にも、女性指揮者や女性ハンドベル奏者などの
音楽関係者にもその姿を見ることができます。今や、女性が街でタキシードを
着て歩いていても、誰もおかしな人と思ったりすることはありません。それどころか、
そのセクシーなカッコ良さに、街行く人は皆憧れの視線を送ることでしょう。
こんなに素晴らしい服なのに、なぜもっと着ないんだろう?と不思議に思います。
タキシード向上委員会では、皆さんの協力を得て、女性用タキシードの普及に
務めて参ります。ご相談があればお気軽にどうぞ。





■女性用タキシード開発秘話■

女性の方がタキシードを着ようと思った時、まず思い浮かべるのは、男性用の
小さいサイズを着ればよい、ということでしょう。男性の皆さんは、男性用の
スーツのサイズがA6とかB7などと言った呼び方があるのをご存知だと思います。
この男性用の呼び方で、Y体というのがあり、これは男性の細い人用で、Y2体は
身長155センチ、Y3体は身長160センチの男性用ですから、この辺のサイズを
女性が着れば、サイズ的にはピッタリです。

では試しに女性の方はこれらのサイズを着て見て下さい。どう見えますか?おそらく、
見た感じは、まさしく「男装」「男の子」に見えるはずです。これは、髪型や化粧を
女性っぽくしてみたり、ハイヒールを履いても変わりません。サイズ的にはピッタリなのに、
なぜそうなるのか。理由は簡単です。元々男用の体型で作られた服を女性が着れば、
男装になってしまうのは当然です。では、どうすれば男装にならずに済むのでしょうか?

その答えは、すでに、「タキシード図鑑」のページの、「男性用タキシードと女性用の
違いについて」で述べています。つまり、「女性ならではの流れるような体のラインを
出す」ということです。この答えを聞いて、皆さんは、「なーんだ、簡単じゃないか」
と思われたかもしれません。しかし、それは決して簡単なことではないのです。

女性の体というのは、それだけで絵画や彫刻などの芸術作品になるほど、複雑な
曲線で構成されています。具体的に言えば、女性は胸が前に膨らみ、お尻は後に
膨らんでいます。そして、中間のウエストは、バストやヒップに比べて3割くらい細く
なっています。さらに、背中は真っ直ぐでなく、上にそり返っています。
これほど曲線で構成された女性の体のラインを出すには、タキシードもかなり
立体的に縫製しなくてはなりません。体のラインを出すには、女性の体を包み込む
ようにしなくてはなりませんが、タキシードの場合、フロントのたった一つのボタンで
留めなくてはなりません。燕尾服に至っては、フロントに留めるためのボタンが
ありません!私が子供の頃、「ペーパーモデル」という、紙で乗り物や建物を作る
遊びがありましたが、この中には飛行機など、曲線が多い物を、一枚の紙で
立体的に再現しているのには感心しましたが、女性用のタキシード・燕尾服の
型紙は、それこそこの「ペーパーモデル」のようなものです。

そして、もう一つの大きな問題は、「どこの工場で作るか」ということです。タキシードは
一見普通のスーツと大差が無いように見えますが、カチッとした、男性用に見劣りの
しない女性用タキシードを作ろうと思えば、常時男性用のタキシードを作っている工場
でないとできません。
しかし、そのような工場に、「女性ならではの流れるような体のラインを出して下さい」
と言っても、工場はすぐには理解できません。当店が工場との信頼関係を築き上げ、
工場も女性用の素晴らしいタキシードを作ろうという共通した認識が無ければ、到底
実現できなかったことです。
もし、老舗のテーラーさんとかに、女性用のタキシードを作ってくれと頼んだら、きっと
プライドが許さないとかで、協力してくれなかったかも知れません。

こうして長年の苦労の末、ようやく皆様に自信を持ってお勧めできる女性用タキシード、
燕尾服が完成したのです。プロジェクトがスタートした頃は、何度作っても「男装」に
なってしまい、泣きそうな思いでした。しかし、この世には女性用タキシードのお手本が
無く、教えてくれる人も誰もいません。一時は、「自分はバカなことをやっているのでは
ないか?タキシードを着る女性なんてこの世にはいない、やめちまえ」という自問自答
の日々でした。しかし、実際に発売してみると、多くの女性に購入していただき、
また、このホームページのアクセスもどんどん増えています。私の苦労は報われました。

しかし私は、これで歩みを止めたわけではありません。さらに良質のタキシードを
目指して研究は続けていますし、もっと世の中の女性にタキシード・燕尾服を
着ていただくための啓蒙活動も続けなくてはなりません。タキシード向上委員会の、
さらなる発展をご期待下さい。





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